事業団の発掘と整理
調査研究員のイチ推し

15 珍しい形の鏡板(かがみいた)を付けた馬形埴輪

古墳時代後期(6世紀) 成塚石橋遺跡2号墳出土馬形埴輪(太田市成塚町)

迫田 睦生
星形の鏡板
 私のイチ推しは太田市の成塚石橋(なりづかいしばし)遺跡2号墳から出土した馬形埴輪です。この古墳は径10m程度の小さな円墳ですが、馬形埴輪以外にも人物埴輪、大刀形埴輪が出土しました。小さな古墳にも様々な種類の埴輪が立て並べられるのが群馬県における古墳文化の特色です。さて、この馬形埴輪の一番の特徴は口元、鏡板(かがみいた)にあります。鏡板とは轡(くつわ)という馬の口に取り付ける馬具を構成する部品の一つで、口の左右につけられます。鏡板の形状は円形やリング状、丸みを帯びて湾曲しf字形をしたものが多く見られます。この馬形埴輪の鏡板は八方向に突出があり星のような形状をしています。このようなデザインの鏡板を付けた馬形埴輪は非常に珍しい例です。
 この馬形埴輪は、鏡板以外にも胸に鈴をつけ、尻は雲珠(うず)、三鈴杏葉(さんれいぎょうよう)で飾り立てられています。耳はピンと立て、前に向けています。マツリに参加している馬が表現されているのでしょう。なぜこのような特殊な鏡板が表現されたのか、わからないことも多いですが、それを考え、想像するのも埴輪を見る楽しみかもしれません。
 収蔵展示室にはいろいろな形の鏡板の轡を付けた馬形埴輪が展示されています。ぜひ確かめに来てみてください。

【群馬県埋蔵文化財調査センター発掘情報館 収蔵展示室】