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発掘調査の最新情報
本郷鶴楽(ほんごうかくら)遺跡
平成30年10月 調査
高崎市本郷地内
平成30年8月1日~平成30年12月31日
平成30年度 社会資本整備(活力・重点)西毛広域幹線道路に伴う埋蔵文化財の発掘調査
高崎土木事務所
縄文・古代・近世
本郷鶴楽遺跡の今年度調査範囲は、北西から南東方向に馬の背状に延びる丘陵の南斜面を対象とし、南端は烏川の崖際まで達しています。8月から開始した調査は、10月末現在で対象範囲の約2/3を広げ調査を行っています。調査遺構は、1783年と1108年の浅間山噴火に伴う軽石層が部分的に確認でき、それぞれ第1面、第2面として調査を行いました。第1面では降灰軽石除去に伴う復旧坑群の調査を行い、第2面では畑跡の調査を行いました。現在、第3面として古代面の調査を行っています。発見された遺構は、竪穴建物や掘立柱建物、土坑、溝等が発見されています。竪穴建物は約100棟を数え、3棟から4棟の竪穴建物が重複する状態で発見されています(写真1)。竪穴建物のカマドは大半が東壁に設けられ、カマド内側壁には石を補強材として設置していますが、一部瓦の破片も補強材として用いるカマドもありました。竪穴建物から出土する遺物のほとんどが10世紀の頃の遺物です。その中に、官人(役人)が装着した帯の帯飾り部品が出土しました(写真2)。この帯飾りは、鉈尾(だび)と呼ばれる帯の末端を飾るもので(写真3)、裏側には、帯に装着するための二個一対の紐通し穴が二重にあけられています。この二重にあけられているのは、一度帯から外されて、穴をあけ直してから再び帯に装着されたのかもしれません(写真4)。
本郷鶴楽遺跡調査事務所 090-2654-3558