事業団の発掘と整理
発掘調査の最新情報

多田山東(ただやまひがし)遺跡

令和2年1月 調査
調査場所
伊勢崎市赤堀今井町内
調査期間
令和元年11月1日~令和2年3月31日
調査原因
令和元年度一般国道50号(前橋笠懸道路)建設事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査
委託者
国土交通省高崎河川国道事務所
主な時代
古墳・古代・中世
遺跡の内容
1月の調査では1区の旧石器確認調査と2区北部の古代の集落の調査を行いました。
1区では旧石器時代の遺構、遺物の有無を確かめるためトレンチを設定して確認調査を行ったところ、1区北東部でナイフ形石器1点(写真1)と、礫群(写真2)が発見されました。石器と礫群は30mほど離れたトレンチから出土しました。ナイフ形石器は、黒色安山岩製で、As-BP(浅間板鼻褐色テフラ)とAs-MP(浅間室田テフラ)間の暗色帯から出土しました。礫群はAs-MP下、AT(姶良丹沢テフラ)上で検出しました。礫群は、こぶし大以下の礫8点が集中していたもので、炭化物も確認されています。遺物の出土したトレンチを拡張し調査しましたが、新たに遺物・遺構は確認できませんでした。1区の調査は1月をもってすべて終了しました。
2区北部では現在のところ竪穴建物16棟、掘立柱建物2棟が確認できました。竪穴建物の多くは1辺約3~4mの方形で、出土した遺物から古墳時代~平安時代のものと考えられます。カマドは北向きのものと東向きのものがありました。カマドの煙道の大半は建物の壁よりも外側に掘り込んで造られていますが、2区と1区で煙道が建物の壁沿いに設置されているものもが各1棟確認されました。これらは煙道を壁の外側に掘り込むものよりも古い時期のものと考えられます(写真3)。カマドの袖の構築材には石を使用したものや、土師器の甕を使用したものがありました(写真4)。
2月は引き続き2区の調査を行っていきます。
連絡先
多田山東遺跡調査事務所 090-2414-2561
写真1 ナイフ形石器出土状態(南西から)
写真2 礫群と炭化物出土状態(南西から)
写真3 25号竪穴建物カマド掘方全景(西から)
写真4 24号竪穴建物カマド全景(南西から)