事業団の発掘と整理
発掘調査の最新情報
石川原(いしかわら)遺跡
平成31年3月 調査
吾妻郡長野原町川原湯地内
平成30年4月1日~平成30年12月31日 平成31年3月1日~平成31年3月31日
八ッ場ダム建設工事に伴う埋蔵文化財の発掘調査
国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所
縄文・古代・近世
3月の調査では、7区5面(縄文)の調査を行いました。調査区の西側では、竪穴建物や配石遺構、埋甕、土坑などの調査を行いました。竪穴建物は、縄文時代晩期前葉から中葉に相当する建物が5棟確認され、竪穴建物の形態は方形を呈していました。竪穴建物の外縁部には、建物の形状に沿って、縁石を1重巡らせるもの(写真1)と縁石を2重に巡らす建物が確認されました。配石遺構は新たに30基確認され、立石の周囲に石を方形に巡らせる配石(写真2)や、埋設した土器を伴う配石など多様な形態が確認されました。また写真2の配石付近からハート形土偶の頭部と左腕が出土しました(写真3)。埋甕は、3月の調査で、14基確認されました。埋甕の時期は、縄文時代晩期に相当するものが多く、ほとんどが縄文土器の上半部のみを利用していました。用途は検討中ですが、土器内中央部に20cm程の丸石を配置するものも確認されました。土坑は新たに100基以上確認され、縄文時代後期前葉から晩期まで各時期に相当する土坑が確認されました。中には、根固めの石を配した柱穴と思われる土坑が確認されており、掘立柱建物が数棟存在したことを確認しました。調査区の東側では、配石墓や列石の調査を行い、配石墓は新たに30基確認されました(写真4)。時期は、縄文時代後期中葉以降が中心で、晩期の配石墓も確認されました。配石墓どうしが切り合った状態で確認されたものもあり、継続的に同じ場所を墓域として利用していたと考えられ、墓域利用後も、上部に配石をするなどの行為を行っていました。列石は3列確認され、うち2列は縄文時代後期前葉、1列は、縄文時代晩期に構築され、地形に沿って構築されていました。
八ッ場ダム調査事務所 0279-76-8040