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石川原(いしかわら)遺跡

平成29年7月 調査
調査場所
吾妻郡長野原町川原湯地内
調査期間
平成29年4月1日から平成29年12月31日
調査原因
八ッ場ダム建設工事に伴う埋蔵文化財の発掘調査
委託者
国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所
主な時代
縄文・平安・中世・近世
遺跡の内容
 石川原遺跡では、江戸時代の天明三年に発生した泥流災害の以前にも、中世~近世前半に南側の丘陵部で大雨等による大規模な山崩れが度々発生しており、2~3回にわたって山崩れに伴う砂礫層が堆積しています。この砂礫層の下には中世~近世前半の家屋や田畑が埋まっており、7月は6区・7区の谷地と台地で中世砂礫層下の調査を行いました。
 台地でみつかった畑は畝(うね)が高さ18~20㎝、幅25~30㎝ほどあり、後世の削平を受けておらず良好な形状で検出することができました(写真1)。どのような作物を作っていたかは現段階では不明ですが、畝の走行は傾斜に対して平行につくられており、天明泥流下の畑が傾斜に直行するのと好対照となっています。
 また、畑の調査に伴って、西側の山裾から谷地に向かってのびる2条の水路と鉄の生産・加工に関わる施設も検出しました。
 谷地部分では砂層で埋没した水田が3面にわたってあり、今回は最下層の水田を調査しました(写真2)。水田は谷地の傾斜を階段状に削平して平坦面を造成していますが、山崩れに伴う砂礫層に埋没した後も幾度も復旧されたため、畦(あぜ)はことごとく削平されていて確認することができませんでした。
連絡先
八ッ場ダム調査事務所 0279-76-8040
写真1 7区中世洪水層下の畑全景(南から)
写真2 6区中世洪水層下水田の検出状況(南から)