歴史を紐解く

群馬の遺跡・出土品発掘遺跡の最新情報

唐堀遺跡で縄文時代後期の水場遺構を発見 平成30年11月調査
1 出土遺跡の概要

(1) 遺 跡 名 : 唐堀(からほり)遺跡
(2) 所 在 地 : 吾妻郡東吾妻町三島3513番地
(3) 調査要因 : 上信自動車道吾妻西バイパス建設工事に伴う調査
(4) 委 託 者 : 上信自動車道建設事務所
(5) 調査主体 : 公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
(6) 調査期間 : 平成30年6月から平成30年12月まで(予定)

2 内容

(1)上信自動車道吾妻西バイパス建設に伴い平成27年度から発掘調査を実施している唐堀遺跡で、縄文時代後期(4400~3000年前)の水場遺構(みずばいこう)が発見されました。

(2)水場遺構からは、湧水点からの引水部分、導水路、作業場、トチの皮の捨て場などが発見されました(写真2)。導水路部分(写真3)には、流路に沿って大きな礫や木材が配置され、木材を固定するための杭も打ち込まれていました(写真4)。これらは水路の護岸のために設置された可能性が高いと考えられます。

(3)水場遺構の周辺からは、廃棄されたトチの種子の皮やクルミの殻などが大量に出土しました(写真5)。これらの植物片は水場の豊富な地下水によって腐らずに残っていたものと考えられます。

(4)水場遺構の周辺には縄文時代後期から縄文時代晩期(3000~2700年前)の遺物包含層が厚く堆積し、多くの出土遺物が発見されました。平成28年に発見された遮光器土偶をはじめ、各種の玉類や石製品、多種多様な遺物が出土しています。

3 要点

(1) 湧水から捨て場に至る縄文時代の水場遺構が完全な形で発見されたのは県内で初めてのことです。

(2) 群馬県内では、完全な形ではありませんが、矢瀬遺跡(やぜいせき:みなかみ町)、西久保Ⅰ遺跡、石川原遺跡(長野原町)、茅野遺跡(かやのいせき:榛東村)下田遺跡(太田市)の5遺跡からも縄文時代の水場遺構が見つかっています。このうち、矢瀬遺跡と茅野遺跡は国史跡に指定されています。

(3) 縄文時代の水場遺構は全国で49遺跡、関東地方では16遺跡があげられています(佐々木由香『なりわい 縄文時代の考古学5』同成社、2007)。

【補足説明】

 河川の流水や湧水などの水が流れていた場所を「水場」と言い、水場に構築された遺構を「水場遺構」と呼びます。水場遺構の多くは食料の加工場という重要な意味を持っていましたが、特殊な遺物が出土することも多く、祭祀場的な機能も合わせ持っていたと考えられます。

4 問い合わせ先

公益財団法人 群馬県埋蔵文化財調査事業団
 調査部
 調査1課長  矢口裕之
 電話 0279-52-2511

5 取材先


以下の方々に現地でご指導いただきました。

水場遺構
   設楽博己(したら ひろみ)東京大学大学院 考古学研究室 教授
    連絡先:03-5841-3794
   國木田大(くにきだ だい)
   東京大学大学院人文社会系研究科附属次世代人文学開発センター助教
    連絡先:03-5841-8945
水場遺構・植物遺存体
   佐々木由香(ささき ゆか)株式会社パレオ・ラボ 総括部長
   連絡先:058-391-0881
動物遺存体
   樋泉岳二(といずみ たけじ)早稲田大学教育学部 非常勤講師

唐堀遺跡全景(西から)

写真1 唐堀遺跡全景(西から)

水場遺構の全景(垂直)

写真2 水場遺構の全景(垂直)

水場遺構導水路の全景(西から)

写真3 水場遺構導水路の全景(西から)

木材と杭で造られた水路の護岸

写真4 木材と杭で造られた水路の護岸

クルミが密集して出土した状況

写真5 クルミが密集して出土した状況

湧水地点の縄文時代後期の出土遺物

写真6 湧水地点の縄文時代後期の出土遺物

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