歴史を紐解く

群馬の遺跡・出土品群馬の遺跡案内

中毛地区膳城-前橋市粕川町膳 大門・中世-

膳城は赤城山南麓(なんろく)を代表する中世のお城です。兎川(うさぎがわ)と童子川(どうじがわ)が合流するところ、この二つの川には東側と西側をけずられた台地のところに、何本もの堀を掘ってつくっています。
膳城はこのあたりを治めていた膳氏によってつくられ、室町時代から戦国時代にかけて使われた城です。城主は膳氏、河田氏と変わっています。戦後、国会議員だった膳桂之助(ぜんけいのすけ)さんが本丸一体を買い上げて地元に寄付し、地元の人たちが大切に守っている城です。

見学案内

上毛電鉄 膳駅から徒歩10分

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は遺跡の位置を表しています。
ここがポイント

右上の図は、現在見ることのできる膳城のようすを軍学の立場からえがいた、縄張り図(なわばりず)とよばれる図です。
城の中心はやや北側にある本丸で、そのまわりをいくつかの郭(くるわ:「曲輪」とも書く。平坦なところ。)が囲むようにならんでいます。本丸を中心にした北曲輪(きたくるわ)・二の丸、南曲輪、曲輪馬出し(くるわうまだし)曲輪が城の中心部で、たとえていうと学校では校舎にあたるところ。その北と西と南を包み込むように設けられている曲輪は校庭に当たるようなところです。
郭と郭の間は堀が掘られ、郭から郭へは、ちょうど渡りろうかのような感じで、橋や堀の一部を掘り残した土橋(どばし)を通って行き来できるようにしていました。一番北側、龍玄寺(りゅうげんじ)の下のところにある堀が、城の一番外側をかこむ堀で、この堀と二本の川で膳城全体が囲まれています。学校でいうと塀(へい)に当たるところです。
正門にあたる追手(おうて)は図の右下の方にあります。川の合流点を渡ったところが追手で、そこから西そして北におれ曲がる堀の中の道を通って城の中に入ります。堀の中の道を通らせるのは、入って来る人を監視(かんし)するためです。また堀をかくかくっと折り曲げたりしているのは守りやすくするための工夫です。
さて、この城をつくった膳(ぜん)氏のことは鎌倉時代の記録にものっていますが、膳城が造られたのは室町時代の中頃だろうといわれていますが、はっきりしません。そのころ関東全体は鎌倉公方(かまくら・くぼう)方と関東管領(かんとう・かんれい)方に分かれて争っていました。享徳(きょうとく)4年(1455)には、管領方についていた膳信濃入道(ぜんしなのにゅうどう)が公方方(くぼうがた)の赤堀(あかぼり)氏に夜討ち(ようち)をかけられて、城が焼け、追い出されるという事件が起きました。この時、膳一族がいたのが膳城だったろうといわれています。
戦国時代に入ると膳氏は桐生助綱(きりゅうすけつな)に追われ、20年近く膳城には桐生氏が入ることになります。そして膳氏は太田金山(おおたかなやま)の城主、由良成繁(ゆらなりしげ)の家臣となり、その助けによって長享(ちょうきょう)2年(1488)ようやく膳城に戻ることができました。
それから60年ほどたつと南から相模(さがみ:今の神奈川県)の小田原を本拠地(ほんきょち)とした北条氏康(ほうじょううじやす)がせまってきました。するとこんどは北から越後(えちご:今の新潟県)を統一し、管領家をついだ長尾景虎(ながおかげとら:のちの上杉謙信(うえすぎけんしん)がやってきました。ところがしばらくすると由良成繁は管領方から北条氏と手を組んでいた古河公方(こがくぼう)家の家来になりました。そのため由良氏は上杉氏と対立することになります。膳氏は上杉謙信に従いますが、元亀(げんき)3年(1572)に落城。膳氏が戻ることはありませんでした。
その後、膳城は由良氏、上杉氏、北条氏がかわるがわる占領し、河田備前守(かわだびぜんのかみ)が城主のとき甲斐(かい:今の山梨県)の武田勝頼(たけだかつより)によって攻め落とされます。この戦いは鎧(よろい)をつけずに城を占領したという「素肌攻め(すはだぜめ)」の伝説がありますが、きちんとした戦いだったようです。その後、膳城の記録は見られなくなります。
膳城の中心部分はいまでも良く残されています。また、本丸の北の北曲輪の一部が発掘調査されています。その結果、本丸から北に続く堀は堀底に幅80cmほどの溝が平行に2~3本掘られている「畝堀」(うねぼり)という珍しい種類の堀であることが分かりました。また、北側の堀には木橋のかけられていたこともわかり、北曲輪の中から建物跡や井戸などもみつかり、15世紀後半から16世紀の特徴を持つ、かわらけという皿や内耳鍋(ないじなべ)なども出土しています。

もっと知りたい!

まず、城跡に行ってみよう。堀や堀にかこまれた郭(くるわ)が目にはいるでしょう。本丸に立ってみましょう。
本丸から見て北の方にある粕川村出土文化財管理センターには発掘調査で出土した資料が保管されています。

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