事業団の発掘と整理
調査研究員のイチ推し

03 新保田中村前(しんぼたなかむらまえ)遺跡の有栓弭形鹿角(ゆうせんゆはずがたしかづの)製品

弥生時代後期(1世紀ごろ) 新保田中村前遺跡(高崎市新保田中町)

板垣泰之
弥生の匠
私のイチ推しは、平成4年から平成5年にかけ染谷川の河川改修に伴い発掘調査された、新保田中村前遺跡の大溝から出土した有栓弭形鹿角製品です。この製品は、ペンキャップ状の形が弦をかけるために弓の端部に取り付ける「弭」に似ていることから、このような名称がつけられました。大きさは長さ6.3cm、幅は2.1cmほどで、丁寧に加工された表面には文様が刻まれ、5か所あけられた穴には細かな細工をした栓が取りつけられています。弭形鹿角製品とは呼んでいますが、横に張り出した栓は弦をかけるには強度が十分とは考えにくく数も多すぎます。つまり、この資料は、実際にはどのように使われたか謎なのです。