事業団の発掘と整理
調査研究員のイチ推し

01 徳丸仲田(とくまるなかた)遺跡の隆起線文土器(りゅうきせんもんどき)

縄文時代草創期 徳丸仲田遺跡(前橋市徳丸町)

田村 博
隆起線文土器推定復元図
復元された隆起線文土器(複製)
 私のイチ推しは、前橋市の徳丸仲田遺跡で1998年に発見された群馬県内最古級の隆起線文土器です。隆起線文土器とは、細い隆起線をめぐらした縄文時代草創期の古い段階の土器です。この頃の土器は、それまで使われていた別素材の容器に似せて作られたと考えられています。円形丸底の隆起線文土器は、編籠(あみかご)や皮袋(かわぶくろ)に似せて作られたことが想定され、隆起線文は籠にめぐらされた箍(たが)のようにも見えます。

 この土器を初めて見た時、「凄い!群馬県で隆起線文土器が出土するとは!」と感激したことを覚えています。隆起線文土器の発見は、群馬県内でも縄文時代草創期の発掘調査が増え始めた頃で、16,500年前の出現期土器(無文土器)の出土で話題となった、青森県の大平山元(おおだいやまもと)Ⅰ遺跡の発掘調査も1998年のことでした。

 いまだその機会がありませんが、自分自身もいつかはこのような土器を発掘したいと思っています。

【群馬県埋蔵文化財調査センター発掘情報館 収蔵展示室】