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発掘調査の最新情報

沼田(ぬまた)遺跡

平成29年6月 調査
調査場所
安中市下秋間地内
調査期間
平成29年6月1日~平成29年7月31日
調査原因
平成29年度西毛広域幹線道路整備に伴う埋蔵文化財の発掘調査
委託者
群馬県安中土木事務所
主な時代
近世
遺跡の内容
沼田遺跡は、安中市下秋間地内にあり、秋間川の右岸に立地しています。今月は調査区を1~4区に分割して、重機による排土作業と遺構確認調査を行いました。
その結果、沼田遺跡では近世の洪水で運搬された土砂を埋め込んだ復旧坑(ふっきゅうこう)と、浅間A軽石を埋め込んだ復旧坑の2種類が見つかりました。
これらの復旧坑は重複しており、洪水の土砂を埋め込んだ復旧坑(写真1)が、浅間A軽石を埋め込んだ復旧坑よりも上位層で見つかっています。そのため、洪水の土砂を埋め込んだ復旧坑の方が、より新しい時期に掘り込まれたことがわかりました。
また、浅間A軽石を埋め込んだ復旧坑の周辺からは、復旧坑に掘削されるかたちで、水田面や畦、溝などが検出されました(写真2)。加えて、復旧坑の間の高まりからは、浅間A軽石を漉き込んだ耕作面も見つかりました。
洪水や火山の噴火の影響で、水田面に土砂や軽石が厚く堆積した際、これらの堆積物を除去する目的で復旧坑は掘り込まれます。水田面の上に、このような痕跡が幾重にも重なっているということは、この地域の人々が洪水や火山の噴火で水田が使えなくなったとしても、繰り返し再生させていたのだと考えられます。
洪水の土砂を埋め込んだ復旧坑の発掘調査は完了したため、現在は浅間A軽石を埋め込んだ復旧坑の調査を行っております。7月も引き続き発掘調査を行う予定です。
連絡先
沼田調査事務所 090-7818-5060
写真1 洪水の土砂を埋め込んだ復旧坑
写真2 浅間A軽石を埋め込んだ復旧坑に掘り込まれた水田