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植栗山根A(うえぐりやまねえー)遺跡

令和3年5月 調査
調査場所
吾妻郡東吾妻町植栗地内
調査期間
令和3年4月1日~令和3年6月30日
主な時代
縄文・古墳・古代・中近世
遺跡の内容
5月は、1区北側と2区の調査を行いました。1区では、南側では6世紀初頭の榛名山二ツ岳噴火の降下テフラ(Hr-FA)に覆われた小区画水田が良好な状態で見つかりましたが、北側では小区画水田の広がりは検出されませんでした(写真1)。
2区の調査では、Hr-FAが埋没土中に堆積している古墳時代の竪穴建物が6棟検出されました。2号建物は、1辺が9mを超える大型建物で、9本の柱で建物を支えていたようです。竪穴建物内に堆積したHr-FAが空洞になる箇所があり、その場所が柱穴の場所でした。建物が廃絶した時には柱が立っており、その後にHr-FAが降下したようです。柱穴の断面調査では、柱の跡(柱痕)の上が空洞となったものがありました(写真2)。4号竪穴建物は、Hr-FAが50㎝以上も堆積しており、その中から植物の葉が見つかりました(写真3)。Hr-FA降下時の竪穴建物の埋没状況や当時の植生解明に役立つ情報を得ることができました。この建物のカマド周辺からは、たくさんの土器が出土しました(写真4)。
古墳時代の竪穴建物周辺には、縄文土器片が多数出土していることから、縄文時代の遺構の存在も想定できます。
連絡先
植栗山根A遺跡発掘調査事務所 090-3244-0006
写真1 Hr-FA 下面の調査(手前が南)
写真2 2号竪穴建物の柱穴断面(西から)
写真3 竪穴建物を覆うHr-FAに残された植物痕
写真4 4号竪穴建物のカマド調査 (西から)