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多田山東(ただやまひがし)遺跡

令和2年5月 調査
調査場所
伊勢崎市赤堀今井町内
調査期間
令和2年4月1日~令和2年9月30日
主な時代
古墳・古代・中世
遺跡の内容
先月から継続して2区と3区の調査を行っています。3区の調査では、As-B下面の調査を終了させ下層の調査を進めたところ、2区から続く溝と柱穴列が道路を横断して3区まで延びていることが確認できました。3区では、溝と柱穴列は南と北の2カ所で直角のコーナーが確認でき、両区にまたがる「コ」の字の大きな区画であることがわかりました。(写真1)。この区画の規模は東辺約62mですが、南と北の辺は調査区外西側に延びており長さは不明です。溝は幅約30㎝、深さ10㎝でした。溝の内側に沿って約3mの間隔で、深さ60㎝以上の柱穴が見つかりました。等間隔に柱が並ぶ柵(さく)が作られたようです。方形区画の内側からは、複数の掘立柱建物(ほったてばしらたてもの)や竪穴建物(たてあなたてもの)が検出されています。しかし、区画と同じ時代に営まれたと考えられるものは、区画の辺と方向を同じくする2棟の掘立柱建物です。このうち2区の掘立柱建物は、約4m×5mの大きさで、柱を据える際に柱の周りの土を突き固めた頑丈な建物です(写真2)。また3区の掘立柱建物は、東辺のほぼ中央に柵と平行して配置され、約4m×17mと細長い建物で、多くの柱が用いられていました(写真3)。
大きな方形区画と2棟の掘立柱建物は、出土した土器などから、6世紀~7世紀の間で機能したと思われます。
これらの遺構群は、一般的な掘立柱建物とは異なる施設と思われますが、今後、慎重に検討する必要があります。
6月は3区の旧石器時代の調査と4区の調査を行っていきます。
連絡先
多田山東遺跡調査事務所 090-5490-1699
写真1 方形の区画(溝と柱穴)と掘立柱建物
写真2 2区で検出された掘立柱建物
写真3 3区で検出された掘立柱建物
写真4 遺跡の全景