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前畑K(まえはたけい)遺跡

令和元年12月 調査
調査場所
桐生市新里町野地内
調査期間
令和元年12月1日~令和元年12月31日
調査原因
令和元年度一般県道梨木香林線道路改良事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査
委託者
桐生土木事務所
主な時代
縄文時代・中近世
遺跡の内容
前畑K遺跡は、県道336号梨木香林線と、県道352号笠懸赤堀今井線の「野」の交差点から北側100m程、赤城山麓を南流する小河川の左岸台地上に立地しています。県道を挟んだ北東に塩竈神社があります。調査区は、民地への進入路を境に北側を1区、南側を2区として調査を行いました。
1区は、調査区北側に幹径1m以上の欅を筆頭に、複数の欅や杉の切株が有り、周囲より1m程高くなっていました。重機が入れないため、切り株を避けて5箇所のトレンチを設定し調査を行いました。南側トレンチでは基盤のローム層が法面状に確認できたため、法面を追いかけるようにトレンチを拡張しながら掘り下げを行いました。その結果、クランク状に屈曲する上幅約5m、下幅約1.6m、深さ約2.4m、断面形状が逆台形状の堀が発見されました。覆土の上層からは、現代のガラス瓶、明治期の陶磁器類、江戸期の陶磁器類が出土し、底部近辺からは内耳鍋の口縁部や、土師器や縄文土器の破片など出土しました。しかし、堀の縁辺に当たる部分では土塁状の盛土は確認できませんでした。堀の南側平坦部では、長辺約4m、短辺約1.6m、深さ約1.4mの竪穴状の遺構が発見されました。この遺構は、埋没土下部に基盤のローム土が落ちた状態で確認きました。この遺構は調査区西側外に伸びていました。他にも小規模ですが、同じように多量のローム土で埋まった土坑があり、中世の遺物が出土していることから、中世の穴蔵(あなぐら)の可能性が考えられます。ローム土は天井部分が落下したものである可能性があります。
2区は、平成29年度に調査した前畑J遺跡3区の西側部分にあたります。2号堀(写真4)は、上幅約2m、深さ約1mで、東西方向に掘られています。溝底面に接して板碑の頭頂部が出土しました。板碑には梵字らしきものが確認できます。この2号堀は、中世の区画堀と考えられます。
連絡先
前畑K遺跡調査事務所 電話 090-2652-8848
写真1 1区全景(北から)
写真2 1号堀全景(南から)
写真3 4号土坑全景(東から)
写真4 2号堀全景(南東から)