事業団の発掘と整理
発掘調査の最新情報

棚下込山(たなしたこみやま)遺跡

令和元年10月調査 調査
調査場所
渋川市赤城町棚下地内
調査期間
令和元年8月1日~令和元年10月31日
調査原因
一般国道綾戸バイパス建設事業に伴う埋蔵文化財調査
委託者
国土交通省
主な時代
縄文・古墳
遺跡の内容
 10月の調査は調査区北側で、縄文時代と旧石器時代の調査を行いました(写真1)。旧石器時代の調査では、4ヵ所に試掘坑を設定し、遺物の有無を確認しながら掘り下げました(写真2)。ローム質黄褐色土層下70cm程掘り下げたところで砂層を、さらに70~80cm程下層では砂礫層を確認しました。砂礫層の礫は、南側に向かい傾いており、河川の営力により北から南に向かう流れがあったことが判断されます。この礫層は、旧利根川の河床礫と想定されます(写真3)。河床礫上には、砂層が何層も堆積し、上層にはブロック状のローム質黄褐色土が堆積していました。同様の堆積状況は、5ヵ所の試掘で確認でき、縄文時代以前の調査区の立地の成り立ちがうかがえました。また、上層の堆積土には、台地上から崩れてきたと考えられる黄褐色土が堆積していました。この土層中からは縄文時代前期中葉から中期後葉の遺物が出土しました。特に石器では、樹木を伐採するのに使用されたと考えられる縄文時代中期の打製石斧等の石器類も多く出土しています。そして、縄文時代中期後葉の土器を埋設した土坑(写真3)なども確認されたことから、縄文時代前期中葉以降も人の生活の痕跡が確認されました。
連絡先
棚下込山遺跡調査事務所  090-5490-1699
写真1 旧石器時代試掘坑の全景(北から)
写真2 旧石器時代試掘坑作業状況(西から)
写真3 河床礫確認状況(西から)
写真4 縄文土器出土状況(東から)