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棚下込山(たなしたこみやま)遺跡

令和元年8月 調査
調査場所
渋川市赤城町棚下
調査期間
令和元年8月1日~令和元年10月31日
調査原因
一般国道綾戸バイパス建設事業に伴う埋蔵文化財調査
委託者
国土交通省
主な時代
縄文・古墳
遺跡の内容
遺跡は渋川市赤城町棚下の利根川右岸、段丘中位面に立地します。遺跡の北3.8kmには、著名な戦国時代の城である長井坂城跡が存在します。
遺跡地は後世の削平の影響を大きく受けており、Hr-FP(6世紀中頃に榛名山の噴火活動により噴出し堆積した軽石)の堆積層はほとんどが削り取られ、一部分はローム層まで削平されています。調査は、このHr-FP下の黒色土面を第1調査面として調査を開始しました。第1面から、土坑、ピット、溝などが発見されました(写真1)。遺物は、土師器、須恵器が数点出土しました。
2面のローム面からは、北側で縄文土器や石器などの遺物が多量に出土しました(写真2)。竪穴建物の可能性も考えられましたが、炉や柱穴などの施設が見つからないこと、遺物が広範囲に斜面の地形に沿って堆積した土層から出土していることから、遺物包含層として調査を行いました。出土した縄文土器は前期中葉から中期中葉末から後葉にかけての時期で、ほとんどが小破片です。また、打製石斧・擦石(すりいし)・叩き石や、石器を制作するときに生じた剥片も数多く出土しています。来月は南側の調査を行っていきます。
写真1 1面 土坑・溝全景(西から)
写真2 2面 遺物包含層遺物出土状況(南から)