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下湯原(しもゆばら)遺跡

令和元年6月 調査
調査場所
吾妻郡長野原町大字川原湯地内
調査期間
平成31年4月1日~令和元年7月31日
調査原因
八ッ場ダム建設工事に伴う埋蔵文化財の発掘調査
委託者
国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所
主な時代
中世・近世
遺跡の内容
6月の調査では、H-1区(旧国道145号線)の2面(古代~中世)、H-2区の1面(近世)、H-3区1面(近世)の調査を行いました。
H-1区の2面では竪穴建物2棟、掘立柱建物4棟、土坑、ピット等を確認しました(写真1・写真2)。H-1区1号竪穴建物は一辺約5mの方形で、東向きの竈を持っています。須恵器が出土しており、古代の住居と思われます。
H-2区、H-3区の1面では天明泥流下畑が広がっていることを確認しました(写真3)。その中にH-2区では溝2条、平坦面12基、H-3区では平坦面3基を確認しました。H-2区の溝のうち1つは東側の岸に沿って割石が設置されていました(写真4)。地表で確認できる割石は、石全体の5分の1以下でほとんどは地中に埋もれていました。割石の長径はまちまちですが、短径は20cm前後でそろえられていました。ほぼ全ての石に鑿(のみ)で幅約7㎝、深さ約6cmの矢穴(やあな)痕が確認できました。大岩の目をよみ、1列で2~5㎝間隔に13個の矢穴を掘ったものもありました。短径をそろえるのに苦労した様子がうかがえました。ここは雨水が谷筋に沿って流れ込んでくる場所であるため、耕作土の流出を防ぐための工夫であると考えられます。
連絡先
下湯原遺跡調査事務所 090-2652-8848
写真1 H-1区 第2面竪穴建物調査風景空撮(上が東)
写真2 H-1区 第2面掘立柱建物調査風景空撮(南から)
写真3 H-3区 第1面天明泥流下畑調査風景空撮(西から)
写真4 H-2区 第1面1号溝調査風景空撮(南西から)